グループディスカッションの役職の中で、何となく手が出しやすそうな「書記」。
書くことくらいなら自分にでもできそうだし、役割を何か持っておけば評価もされやすいかもしれない!
そう思っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、書記というのは奥が深いもので、得られるメリットが大きい反面、一歩間違えるとデメリットの方が大きくなる危険性もあるハイリスク・ハイリターンの役割です。
逆に言うと、書記という役割の特色や注意点をしっかりと理解してGDに挑むことで、ハイなリスクを回避して、GD通過という大きいリターンをゲットすることができるわけです。
そこで今回は、書記としてGDに挑戦するうえで知っておきたい、書記の特色とGDで求められる2つの能力について見ていきましょう。
目次
書記がGD中にしなければならないこと
まず、書記という役割がグループディスカッション中にしなければならないことを見ていきましょう。
書記はその名の通り、議論の中で出た意見をメモして残したり、ホワイトボードに書いたりして議論の内容を見返しやすくしたり、まとめたりするための役割です。
従来の対面型の選考では紙にまとめたりホワイトボードに書いたりするのがほとんどでした。
しかし最近はオンライン上でのGD選考も多くなってきているので、
Wordなどの文書作成ソフトを使って画面共有で書記をおこなうこともあります。
ですので、前提として、書記には対面の場合は字を素早く丁寧に書く能力、
オンラインの場合はそれなりの速さ・正確さでのタイピング能力が求められます。
当然、ただ単に速記やタイピング能力さえあれば、書記が務まるというわけではありません。
これ以外にも重要な能力は多くあり、それは今からこの記事で説明していきます。
しかし、書記を務めるうえで速記能力・タイピング能力があればそれだけで一つのアピールポイントになりますし、
就活だけでなく、社会人になってからの仕事でも必ず役に立つスキルです。
これを機に、今のうちに練習を積んでおいて損はありません。
書記になるメリット・デメリット
GDでは何か役割を持っていた方がいい!
けど司会は怖い!
タイムキーパーはアピール出来なさそう…
そしたら書記がいいんじゃない!?!?
そんな考えを持っている方も多いのではないでしょうか。
何となく書記に立候補する前に、しっかりと書記になるメリットとデメリットを理解しておくことが大切です。
メリット
・積極性をアピールできる
何らかの役割に就きたい!と思っている人は積極性のアピールが目当ての人も多いのではないでしょうか。
これは正直その通りで、何らかの役割を買って出ることで積極性がアピールできるのは間違いありません。
書記は議論の内容をまとめるという立場上、ファシリ(司会)に次いで議論の方向性を決める役割にもなるので、上手くいけばかなり自分の能力をアピールすることができます。
・サポート力をアピールできる
これもメリットとしてあります。先ほども述べましたが、書記としてファシリの右腕的な役割になることで、リーダーをサポートする能力をアピールすることもできます。
自分がぐいぐい引っ張っていくことは出来ないけれど、議論の方向性を決める手伝いくらいはできる、という場合は書記になると自分の能力をアピールできてよいでしょう。
・要約力をアピールできる
もちろん、ほかのメンバーの意見を一言一句聞き取って書いていては、時間がどれだけあっても足りませんし、ぱっと見で分かりにくいメモになってしまいます。
ほかの人の発言からしっかりと要旨を選び取って、わかりやすくまとめる要約力が必要になります。ここをアピ―ルできると、ファシリと同等かそれ以上の評価を得ることができます。
・GDの全体像を把握しやすい
自分の手で全員分の発言を文字に起こしてまとめるため、もちろん書記本人が一番グループディスカッションの意見の流れや全体像を把握しやすいです。
そのため、途中で議論を整理したり、論点をまとめたりする際に発言がしやすく、まとめる力などをアピールしやすい立場にあるといえます。
デメリット
・議論の方向性を大きく左右するため、失敗したときの責任が大きい
発言の要旨を見て意見を分類していく以上、書記はファシリの次に進行に大きく影響しますし、
論点を絞ったり、図にまとめたりするのも比較的書記の裁量によるところが大きいので、
上手くいけば自分の手腕をかなりアピールすることが可能です。
それはつまり、逆に方向性を間違えてしまった場合はディスカッション自体が失敗に終わる可能性すらあります。
つまり、ハイリスク・ハイリターンなポジションなのです。
・自分の意見を言いづらい
書記はほかの人と違い「書く」というタスクがプラスされています。
そのため、よほどの猛者でない限り上手くほかの人の意見を吸い上げてまとめることと、
自分の意見を述べることを両立することはかなり難しいです。
書記という役割に立候補した以上は、自分の意見を述べるよりも書くことに徹する方がよいです。
自分の意見を述べる際には、これまでの流れをまとめたり、議論の方向を修正したりする際に付け加える程度にするのがよいでしょう。
そのため、どんどんアイデアを出して評価されたい人にとっては少し不向きな役割であると言えます。
実際に、就活を先に終えた先輩方にインタビューしてみると、
自分のアイデア力に自信があるなら、無理に何かの役割を持つ必要はないです。
自分の意見を出せないから、書記に回るのは避けてました。
という声もかなりありました。
何らかの役割につかないと評価されない、というわけではないので、
書記に固執するのではなく自分に合った立ち位置を練習会などの中で見つけていきましょう。
就活を終えた内定者の先輩方のインタビューはこちら!
【コンサル志望必見】「できる人」と思われるGD攻略術 内定者インタビュー!#3 【就活】就活に出遅れても巻き返せた戦略とは?内定者にインタビュー!#2 【就活】面接で頭一つ抜けるコツ!?内定者にインタビュー!#1
書記に求められる能力①議論を書きつける能力
書記が陥りがちなミス
先ほどもデメリットの部分で説明したとおり、かなりの能力がない限り、
書記の仕事と自分の意見を述べることを両立するのは難しいです。
ただ、そうはいってもGDは選考の一環ですし、少しでも自分のいいところを見せなければ!と、自分の意見を言いたくなってしまうのが人間です。
これこそが書記の陥りがちなミス。
過去の就活における、実際のGD体験談を見てみましょう。
書記の子が、GDのメンバー8人全員の意見を聞きながら、さらに自分の意見も出しながら進めていたが、全員の意見を上手く吸い上げ切れておらず、結局それに引っ張られて発言も減っており、全体としていい加減なGDになっていた。
社員さんからのフィードバックでは、①とにかく全員のアイデアを書き出すこと、②それを上手く絞っていくこと が書記にとって重要だとフィードバックされていた。
このようなケースに、GDをしていたら遭遇するのではないでしょうか。
もしかしたら、自分が無意識にこのようなケースを引き起こしてしまう可能性もないわけではないでしょう。
書記で一目置かれるためには「図」!!
では、書記に当たった際に何を意識すればいいのでしょうか。
これは、もう明確でしょう。「書記の仕事に徹すること」です。
書記もして意見も出す!はかなり厳しいので、書記にまだあまり慣れていないうちは、
「書記としての能力をアピールする」という方針でGDに挑む方がよいでしょう。
それでは、「書記としての能力」をアピールするにはどうすればよいでしょうか?
それはずばり、図を使うこと!
ほかの人の発言をホワイトボードや文書作成ソフト上でまとめていく場合、多くの人は単純に箇条書きにすることが多いでしょう。
だからこそ、ここで視覚的に見やすい図を使うことで、人事の方にも「ほかの書記とは一味違う」ということをアピールすることができます。
具体的な図の例をいくつか挙げていきますね。
〇マインドマップ
最初の前提を確認して、論点を見つけていくときにちょうど使いやすいのがマインドマップ。
最終的に整理するまではマインドマップを使っていくと、
どの論点について話していて、どの論点がまだ議論が薄いのかもわかりやすいです。
さらに論点同士の関わり合いも一気に見えやすくなり、一覧性もあり非常に良いです。
オンラインでのグループディスカッションの場合も、
マインドマップツールをあらかじめインストールしておくと、スムーズに画面共有ができます。
無料で使えて、なおかつ高機能なマインドマップツールに”Xmind”があります。
自己分析などにも使いやすいので、この機会にインストールしておきましょう!
参考
XMindhttps://jp.xmind.net/
〇マトリックス図
もう一つ、わかりやすい図としてマトリックス図というものがあります。
具体的な事例をもとに実際にマトリックス図をつくってみます。
例えば設問として、インターネット上のショップの売り上げを伸ばすには?という設問が指定されたとします。
この設問に対してのアプローチとして、
・SNS広告を使う ・セールを実施する ・新商品を開発する …
など、様々な施策が考えられますよね。
ただし、このままだとそれぞれの施策がどの層をターゲットにしているのか、何に力を入れたらいいのか、わかりませんよね。
そこで、売り上げ拡大のパターンとして
①既存顧客が既存の商品をもっと買うにはどうしたらいいか考える
②新規顧客が既存の商品を買うにはどうしたらいいか考える
③既存顧客が買いたくなるような新規商品を開発する
④新規顧客を獲得できるような新規商品を開発する
の4パターンに分けます。
この4パターンを、図に表すと以下の図のようにきれいにまとめられます。
この図のことを「マトリックス図」と言います。
見たことがある人も多いのではないでしょうか。
このように、軸を2つ作って、2×2の4マスの枠組みの中に意見を集約していくやり方です。
マインドマップである程度意見が出そろったら、いったんまとめの時間に入り、
このマトリックス図にまとめるとかなりわかりやすくなるでしょう。
この図を使えば、意見の軸が偏ったり、どこか特定の層が取りこぼされていたり、という欠陥をなくすことができますし、
視覚的にもかなり論点が整理しやすくなります。
書記に求められる能力②ゴールを再認識させる能力
GDの時に陥りがちなミス
さて、①で書記としての能力をアピールする方法について見てきました。
しかし、書記はただ図でまとめるだけではもったいないです。
メリットの部分でも説明しましたが、書記という立場上ほかの人よりも議論の全体像や方向性を見定めやすいという利点があるため、
議論をまとめたり、方向性を定めたりする役割も担えるとさらに良いです。
しかし、あまり方針を定めることにこだわりすぎるのも失敗の原因になりかねません。
典型的な失敗の体験談を見てみましょう。
外資系コンサルティングファームで、「京都の観光産業を振興するためにはどうするべきか」というお題が出された。
(20分)
そこで書記を担当したが、まずは全員分の意見を聞いて、ターゲット層や観光に訪れる頻度、季節や観光商材などの議論の軸を書き出して、その中からいくつか注目すべき軸を打ち出してマトリックス図で整理していった。
しかし、グループディスカッションが終了した後の社員さんからのフィードバックでは、
「軸で切ってフレームワークをするのは非常にいい方法であるが、フレームワークを決めきってしまうとその枠内で議論が収まってしまう。フレームワークに終始すると、木を見て森を見ていない議論になってしまう」
「依頼者(この場合は「京都の観光業を振興させたい」と思っている人)を明確なアウトプットとして定義しなおし、その目標を達成できるような軸を選び出して、その軸を何度も書き直すこと」で初めて付加価値のある議論が可能になる」
と言われた。
例えば、観光客の層を「近隣の日本人観光客」「遠方の日本人観光客」「外国人観光客」に分けて討論したが、日本人を近隣と遠方に分けることは、観光業の振興という観点ではそこまで重要でない、という指摘があった。
たしかに討論の途中でもこの軸ではない気がする、という違和感はあった。
軸を何度も書き直す必要があるという社員さんの指摘通り、重要でないと分かった時点で方針を変えなければならなかったのだ。
結局、その選考は通過できなかった。
このように、フレームワークに規定されすぎたり、最初に決めた軸に縛られすぎたりしてしまうと、議論の方向性が間違ったまま進んでしまうことになり、そのグループディスカッション自体が生産性のない議論になってしまう危険性があるのです。
ディスカッションの軸をずらさないために
では、このような状況に陥らないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか。
そこで要求される能力が、「ゴールを再認識させる能力」です。
先ほどの体験談の社員さんからのフィードバックでも言及されていたように、
曖昧な「京都の観光業の振興」というテーマから、前提を整理する際に何か明確なゴールを決定すると思いますが、
軸を設定しているうちにそのゴールからずれた話になることがあります。
そんな時に書記として全体像を把握しているあなたがメンバー全員にゴールを再認識させることができれば、一気によいディスカッションになります。
自分の決めた枠組みの中で意見を分類することに終始するのではなく、
書記だからこそ、枠組みの外まで全体的に俯瞰して見て、「議論の方向性を修正すること」が必要になってきます。
面接官は完全に俯瞰してディスカッションを見ているため、議論が本筋からずれているかどうかはすぐ気づきます。
面接官が「あ~このグループの議論ずれてるな…」と思い始めたところで、書記がしっかりと軌道修正をかけることができれば、
「おっ、この書記分かってんな~」とかなり高く評価されるはずです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。書記の役割やメリット・デメリットから、陥りがちなミスとその対処法まで、書記について様々な側面を見てきました。
書記には向き不向きがあるでしょうし、ただ単に意見を出す側とは違った難しさがあります。
しかし、このコツをしっかりと理解していれば、ほかの書記とは一味違うところをアピールすることができます。
書記をやってみようかな?と思う人は、この記事の内容を念頭に置いてから、GD練習会やGDの本番に挑んでみてくださいね。